大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

山口地方裁判所 昭和39年(ワ)79号 判決

原告 河村重夫 外一名

被告 国

訴訟代理人 平山勝信 外一名

主文

被告は原告河村重夫に対し金一九八万四、八三二円、原告東産業株式会社に対し金六〇万一、六二四円、および右各金員に対する昭和三九年五月一〇日から支払済みまで年五分の割合による各金員を支払え。

原告会社のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は全部被告の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

(原告ら)

被告は原告河村重夫(以下原告河村という。)に対し金一九八万四、八三二円、原告東産業株式会社(以下原告会社という。)に対し、金六〇万九、八八四円、および右各金員に対する昭和三九年五月一〇日から支払済みまで年五分の割合による各金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

(被告)

原告らの請求を棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

第二、当事者の主張

(原告らの請求原因)

一、原告河村は訴外前田正雄(以下訴外前田という。)に対し次のとおり手形貸付の方法により合計金五二〇万円を貸付けた。

(一) 昭和三六年七月二〇日 金一〇〇万円

(二) 同月二四日      金一〇〇万円

(三) 同年 八月一日    金一〇〇万円

(四) 同年一〇月二二日    金九〇万円

(五) 同年一一月四日     金三〇万円

(六) 同月一七日       金五〇万円

(七) 同月二四日       金五〇万円

そして昭和三七年四月二日現在、右貸金は元金遅延損害金を合わせて金二五三万七、七九一円残つていた。

二、原告会社は訴外前田に対し昭和三四年頃以降金七七万三、四八六円の貸金債権を有していたが、これに関し昭和三八年三月二六日原告会社と訴外前田の間に成立した裁判上の和解により原告会社は訴外前田に対し金六〇万九、八八四円の貸金債権を有していた。

三、ところが、山口社会保険事務所長(以下事務所長という。)小林敏隆は訴外前田が健康保険料、厚生年金保険料(以下本件滞納保険料という。)合計金二三三万九、四四二円を滞納したという理由で昭和三七年六月四日訴外前田が石炭鉱業合理化事業団(以下事業団という。)に対して有する石炭鉱山整理交付金債権(以下本件交付金債権という。)金一、一六五万一、五四三円につき、健康保険法、厚生年金保険法の準用する国税徴収法により差押をなし、更に昭和三八年二月二八日事業団より本件滞納保険料に優先する債権金二三三万九、一七九円を控除した残額全額の金九三一万二、三六四円を取立て、本件滞納保険料金二三三万九、四四二円と滞納処分費金一〇〇円および交付要求のあつた宇部市税金四万五、八八〇円と普通納付金一八万八、七三〇円を差引き、ついで同年三月九日右残金の内から金六五〇万円を、訴外前田より同額の残余金還付債権の譲渡を受けたと称する訴外生田金二(以下訴外生田という。)に交付し、更に同月一二日残額全額の金二三万八、二一二円を山口地方法務局に供託した。

四、しかし事務所長の前記措置は以下に述べるように違法であり、かつ同所長にはその職務を行うについて故意または過失がある。

(一) 超過差押、取立処分の違法

国税徴収法第六三条本文は債権差押につき全額差押を原則としているけれども、他面同条但書は全額差押の必要がないと認められる場合には一部の差押をすることができる旨規定しているのであつて、本件差押の場合本件交付金債権の第三債務者は事業団なのでその支払は確実であつたから、本件滞納保険料の範囲で差押をすれば足りる場合であつたのに、あえてこれをはるかに超える前記のような多額の差押をしたことは権利の濫用であつて違法である。

また国税徴収法第六七条第三項は取立ての限度において滞納者から差押にかかる国税を徴収したものとみなす旨規定しているところ、右規定の趣旨からすれば本件取立ての場合本件滞納保険料は金二三三万九、四四二円、滞納処分費は金一〇〇円、交付要求のあつた債権額は合計金二三万四、六一〇円に過ぎなかつたから右合計金二五七万四、一五二円を取立てれば必要にして十分であつたのに、あえてこれをはるかに超える前記のような多額の金員を取立てたことは権利の濫用であつて違法である。

(二) 仮りに超過差押、取立てが違法でないとしても、訴外生田に対する金六五〇万円の交付は違法である。

訴外前田から訴外生田に対してなされた残余金還付債権のうち金六五〇万円の債権譲渡は仮装のものであり、原告らは右事実を事務所長に対して再三にわたり通知し、また原告らは昭和三八年二月一八日到達の内容証明郵便で同所長に対して後記各譲受債権額で配当加入の申出をし、更に原告河村は残余金還付債権に対し債権差押並びに取立命令を得、同命令は同年三月五日同所長に送達されたから同所長は残余金還付債権を目的とする債権者が訴外生田の外にもいることを知つていたのであり、しかも訴外生田が債権の仮装譲受人である旨の通知も受けていたのであるから、たとえ訴外生田が法律形式上は原告らより残余金還付債権に対して優先する者であるとしても、なお債権者を確知し得ないものとして、残余金全額を裁判所に引渡すか又は供託することなく、残余金のうちから金六五〇万円を訴外生田に交付したことは違法である。

五、事務所長小林敏隆は国の公権力の行使にあたる公務員であるから、被告国は同人がその職務を行うにつき、故意または過失によりなした前記の違法な措置により原告らの蒙つた損害を賠償する責任がある。

六、しかるところ、原告らは次のとおり損害を蒙つた。

(一) 原告らは昭和三七年六月一八日前記一、二記載の各貸金債権の弁済担保の目的で訴外前田から同訴外人が事業団に対して有する本件交付金債権のうち、原告河村は金三〇〇万円、原告会社は金六〇万九、八八四円の各債権譲渡を受け、訴外前田は同日付の内容証明郵便で事業団に対し右各譲渡の通知をし、右通知は翌一九日事業団に到達していた。しかして本件差押に優先する債権は金二三三万九、一七九円であり、本件差押後、右通知にかかる債権譲渡までの間に本件交付金債権につき原告らに優先する者は訴外前田より本件交付金債権の一部を譲受けた訴外森尾善治のみであり、かつ右譲受債権額は金五一万三、〇〇〇円に過ぎなかつたから、本件差押に優先する債権、本件滞納保険料、滞納処分費、交付要求債権および右森尾の債権の合計金五四二万六、三三一円を控除してもなお金六二二万五、二一二円の余剰があつたので、前記の違法な差押、取立てがなされなかつたならば原告らの受けた前記各債権譲渡は有効に存続し、原告らは右各譲受債権のうちから前記各貸金債権を完全に回収することができたところ、右の違法な超過差押、取立ての結果原告らの右各債権譲渡はその効力を失つた。

しかして訴外前田が無資力であつたため、原告河村は前記貸金二五三万七、七九一円のうち、訴外前田が差し入れていた担保物件を処分した代金四五万円と前記供託金から配当を受けた金一〇万二、九五八円との合計金五五万二、九五八円を除くその余の回収ができず、原告会社は前記貸金六〇万九、八八四円全額の回収ができず、結局原告河村は金一九八万四、八三三円、原告会社は金六〇万九、八八四円の回収をすることができず、原告らは右各同額の損害を蒙つた。

(二) 仮りに超過差押、取立てが違法でないとしても、訴外前田が前記の如く無資力であつたため前記のように原告河村は金一九八万四、八三三円、原告会社は金六〇万九、八八四円の各貸金債権の回収をすることができなかつたところ、前記金六五〇万円の交付当時、右金六五〇万円を目的とする債権の総額は金一、一一六万四、八七五円であつたから右交付がなされず供託又は裁判所に引渡されていたならば、右金六五〇万円を原告らの右各未回収貸金債権額に接分した原告河村は金一一五万五、五三五円、原告会社は金三五万五、〇六四円の回収を図ることができたところ、前記の違法な交付の結果原告らはその回収を図ることができず右各同額の損害を蒙つた。

七、よつて国家賠償法により被告に対し原告河村は金一九八万四、八三二円、原告会社は金六〇万九、八八四円および右各金員に対する訴状送達の日の翌日である昭和三九年五月一〇日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるが、これが容れられないとしても少くとも原告河村は金一一五万五、五三五円、原告会社は金三五万五、〇六四円および右各金員に対する右同日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(請求原因に対する被告の答弁)

第一、二項の事実は不知、第三項のうち、訴外生田が訴外前田より金六五〇万円の残余金還付債権の譲渡を受けたと「称する」との点は否認し、その余の事実は認める。

なお事業団は事務所長に対して任意に交付したのであつて、同所長において訴提起の方法等により取立てたものではない。

第四項のうち、国税徴収法第六三条本文、但書の文言が原告らの主張するとおりのものであること、原告らが事務所長に対して訴外前田より訴外生田に対してなされた金六五〇万円の残余金還付債権の譲渡が仮装のものである旨再三にわたり通知し、また昭和三八年二月一八日到達の内容証明郵便で事務所長に対してその主張の債権額で配当加入の申出をしたこと、更に原告河村が残余金還付債権に対し債権差押並びに取立命令を得て、同命令が事務所長に送達されたこと(但し送達の日は同年三月六日である。)は、いずれも認めるがその余の主張は争う。

債権の実質的な価値は名目上の額によつて定まるのではなく第三債務者の弁済能力によつて定まるのであり、特に他の債権者が交付要求をすることも考えられるのであつて、国税徴収法第六三条本文が債権差押の場合には全額差押をしなければならないものと規定しているのも右の点を考慮したからにほかならない。また差押えた債権の全額を取立てることは適法である。

更に事業団から交付を受けた金員の残余金六七三万八、二一二円は本来ならば国税徴収法第一二九条第三項により滞納者である訴外前田に交付すべきものであるところ、訴外前田は右残余金還付債権のうち金六五〇万円の債権を昭和三八年二月二〇日訴外生田に譲渡して同日付の内容証明郵便で事務所長に対し右譲渡の通知をしたので、事務所長は訴外生田が正当に原告ら第三者に対抗することのできる債権の譲受人と認めて金六五〇万円を交付したのであるから適法である。

第五項のうち、事務所長小林敏隆が、国の公権力の行使にあたる公務員であることは認めるが、その余は争う。第六項の(一)のうち、原告らがその主張の債権譲渡を受け、右譲渡の通知がなされたことは不知、その余は争う。同(二)は争う。

第三、証拠〈省略〉

理由

一、〈証拠省略〉並びに弁論の全趣旨によれば、請求原因第一項の事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。

次に〈証拠省略〉によれば、請求原因第二項の事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。

以上によれば、訴外前田に対し原告河村は昭和三七年四月二日以降元金、遅延損害金を合わせて金二五三万七、七九一円の、原告会社は昭和三四年頃から少くとも金六〇万九、八八四円の各貸金債権を有していたと認められる。

二、次の事実は当事者間に争いがない。

事務所長小林敏隆は訴外前田が本件滞納保険料金二三三万九、四四二円を滞納したという理由で昭和三七年六月四日同訴外人が事業団に対して有する本件交付金債権金一、一六五万一、五四三円につき、健康保険法、厚生年金保険法の準用する国税徴収法により差押をなし、更に昭和三八年二月二八日事業団から本件滞納保険料に優先する債権金二三三万九、一七九円を控除した残額全額の金九三一万二、三六四円を取立て、本件滞納保険料金二三三万九、四四二円と滞納処分費金一〇〇円および交付要求のあつた宇部市税金四万五、八八〇円と普通納付金一八万八、七三〇円を差引き、ついで同年三月九日右残金の内から金六五〇万円を訴外生田に交付し、更に同月一二日残額全額の金二三万八、二一二円を山口地方法務局に供託した。

三、そこで先ず本件差押、取立ての各処分が違法であるか否かについて検討する。

国税徴収法第六三条は債権差押については同法第四八条第一項の原則に対する特則として滞納国税の額にかかわらず、全額差押を原則とし、徴収職員が全部差押の必要がないと認めるときは一部差押をすることができる旨規定しているが、これは債権の実質的な価値が第三債務者の支払能力、第三債務者の滞納者に対する反対債権その他抗弁権、その他種々の事情に左右されるものであるため、名目上の債権額からこれを把握することが困難であり、どれ程の債権額を差押れば国税徴収に支障がないかを予め知り難いという他の種類の財産と異る債権特有の事情から全額差押を原則とし、ただ徴収職員が差押債権の実質的価値を把握し一部差押によつても国税徴収に支障がなく全額差押の必要がないと認めた場合には一部差押をすることができることを定めたものと解されるのであつて、差押えるべき債権の範囲を一部とするか否かの認定は徴収職員の自由裁量に委ねられているというべきであるから、その裁量権の範囲内の行為である限り全額差押をしたからといつてこれを違法とすることはできないものというべきである。しかしながら徴収職員が差押えた債権の取立てをする段階では右と事情を異にするのである。即ち、同法第六七条第一項によれば徴収職員は差押えた債権の取立てをすることができ、その取立てに必要な滞納者の第三債務者に対して有する権利の行使をすることができるけれども、同法第三項によれば徴収職員が右により金銭を取立てたときはその限度において滞納者から滞納国税を徴収したものとみなされるのであるから、たとえ全額差押をした債権であつてもそれが金銭債権であつてその一部の取立てによつて取立ての日までに交付要求のあつた国税、地方税または公課に配当するだけの金銭を取立てることができるときは、それ以上に債権の取立てをする必要はないと解されるから、右のような場合には必要の限度を超えて差押えた債権全額を取立てることは許されないものというべきであつて、差押債権の全額を取立てるか否かの決定まで徴収職員の自由裁量に委ねられているとはいえないものと解されるのである(東京高裁昭和四五年四月三〇日判決、判例時報六〇〇号七七頁参照)。

ところで本件の場合、事務所長は健康保険法、厚生年金保険法の準用する国税徴収法により本件差押、取立ての各処分をなしたのであるが、この場合にも前敍の理と別異に解すべき理由はない。しかるところ、本件において、本件滞納保険料は金二三三万九、四四二円、滞納処分費は金一〇〇円、交付要求のあつた宇部市税は金四万五、八八〇円、普通納付金は金一八万八、七三〇円、以上合計金二五七万四、一五二円に過ぎなかつたから、事務所長は右同額の金員を取立てれば本件滞納保険料、滞納処分費の徴収を確保できたにもかかわらず、これを超えて前記の如く金九三一万二、三六四円を取立てたのであるから差引金六七三万八、二一二円は事務所長が国税徴収法の解釈を誤つた過失により違法に取立てをしたものというほかはない。

なお被告は、事務所長が訴の提起の方法等により取立てたものではなく事業団が任意に交付したものを受領して取立てた旨主張するところ、その趣旨必ずしも明確ではないが、取立ての方法が訴の提起等によるか否かによつて取立権の範囲を超える取立ての適否が左右されるものではないし、また右範囲を超える金員の受領を拒むことは正当であり、また拒むべきものであるから、いずれにしても被告の主張は主張自体失当というほかはない。

以上のとおり事務所長のなした本件取立処分は同所長の過失に基づく違法な処分であり、同所長が国の公権力の行使にあたる公務員であることは当事者間に争いがないので、事務所長の執つた措置について原告らの主張するその余の違法の主張の点について判断するまでもなく、被告国は本件取立処分により原告らの蒙つた損害を賠償する責任があるといわねばならない。

四、そこで進んで原告らの損害について検討する。

〈証拠省略〉並びに弁論の全趣旨によれば、原告らは訴外前田に対して有する前記一に認定した各貸金債権の回収を図るために昭和三七年三月下旬頃、訴外前田より右各貸金の弁済担保の目的で同訴外人が事業団に対して有する本件交付金債権のうち原告河村は金三〇〇万円、原告会社は金六〇万九、八四四円の各債権譲渡を受け、その後同訴外人が右各譲渡につき同年六月一八日付の内容証明郵便で事業団に通知し、右通知は翌一九日事業団に到達したことが認められ、右認定に反する〈証拠省略〉は前掲〈証拠省略〉と対比してたやすく採用できず、他に右認定に反する証拠はない。

しかして〈証拠省略〉によれば、本件差押後右通知にかかる債権譲渡までの間に本件交付金債権につき原告らに優先する者は訴外前田から本件交付金債権のうち金五一万三、〇〇〇円の債権譲渡を受けた訴外森尾善治のみであつたことが認められ、他に右認定に反する証拠はない。

以上によれば、本件取立処分が前記のような金九三一万二、三六四円全額の取立てではなく前記の本件滞納保険料、処分費、交付要求債権合計金二五七万四、一五二円の取立てに止まり、その余の金六七三万八、二一二円についての差押が解除されていれば、訴外前田は事業団に対して右同額の本件交付金債権を有していたことになり、従つてこれから前記森尾の債権額を控除してもなお金六二二万五、二一二円の右債権が残つたことになるから、訴外前田の原告らに対する前記各債権譲渡はその効力を有し原告らは弁済担保の目的で譲受けた右各譲受債権のうちから前記の各貸金債権を完全に回収し得たものといわねばならない。

しかるに、本件取立処分が右の範囲を超えて金九三一万二、三六四円全額の取立てであつたことにより訴外前田の事業団に対する本件交付金債権は消滅し、従つて同訴外人の原告らに対する前記各債権譲渡はその効力を失つて原告らの弁済担保が消滅したというほかはない。

しかして〈証拠省略〉並びに弁論の全趣旨によれば、訴外前田が無資力であつたため原告河村は前記貸金二五三万七、七九一円のうち前記手形貸付の開始に際して訴外前田が差し入れていた家屋、コンプレツサー、モーター等の担保物件を処分した代金四五万円と前記供託金から配当を受けた金一〇万二、九五八円との合計金五五万二、九五八円以外にはその回収を図ることができず、原告会社は前記貸金六〇万九、八八四円のうち訴外前田の電話加入権を差押換価した代金のうちから配当を受けた金八、二六〇円以外にはその回収を図ることができなかつたことが認められ、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。

そうすると違法な本件取立処分の結果、原告河村は金一九八万四、八三三円、原告会社は金六〇万一、六二四円の訴外前田に対する各貸金債権の回収を図ることができなかつたというほかはないから原告らは右各同額の損害を蒙つたものといわなければならない。

五、以上によれば、被告国は国家賠償法により損害賠償として原告河村に対して右損害額の範囲内である金一九八万四、八三二円、原告会社に対して右損害額である金六〇万一、六二四円、および右各金員に対する本件記録により訴状送達の日の翌日であること明らかな昭和三九年五月一〇日から支払済みまで民法所定年五分の割合による各遅延損害金を支払う義務があるというべきであるから、本訴請求のうち原告河村の請求については全部正当として認容し、原告会社の請求については右認定の限度において正当として認容し、その余は失当であるから棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九二条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 荻田健治郎 小川喜久夫 三島いく夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例